気密の秘密
補助金の説明会に行ってきました。
広島の中心部にある、こーんな高層ビル!!の2階で。
会場は、普通のセミナー室でしたが100名以上の満員状態でした。
写真を撮ったのですが、「撮影・録音禁止」(なんで?)と
注意されたので、とりあえず掲載は控えます。
ごくごく普通のセミナーの風景をご想像下さい。
聞いたのは、国交省と経産省の2種類の補助金の話。
それぞれの説明会で配布された冊子の冒頭には、
同じ主旨説明が載っています。
ゼロ・エネルギー住宅を建てるために、国庫補助金を使うもので、
ゼロ・エネルギー住宅とは、簡単に言いますと、その住宅で使うエネルギーと
発電するエネルギーの差引がゼロ(または発電の方が多い)になるという住宅です。
。
具体的な手段として、上の写真のように、
住宅の断熱性能を上げ、エネルギー効率の良い設備をつけることで、
標準的な住宅のエネルギー消費量(B)に比べて、
この住宅の使うエネルギーは少なくなりますよね(C)。
さらに、太陽光発電等をつけることで、住宅の消費エネルギーを
上回る発電ができました(D)ということで、この住宅では、
使うエネルギーより産むエネルギーの方が多いではないか、
ということです。
さて、賢明な皆様は、ここで疑問が生じませんでしょうか。
最終目的が「住宅の消費エネルギーを減らす」ことではなく、
「当該住宅でエネルギーがプラスマイナスゼロ(以上)」
であることです。
じゃあ、エネルギー大量消費住宅でも、大きい太陽光を
付ければいいんかい!!
ということはなく、一応、「事業主基準(略称)」という
標準的なエネルギー消費量(B)をスタートにして考えることには
なっています。さらに、採択の優先順位も、太陽光の発電量を
加味せず、住宅のエネルギー削減率の高いものを優先するとの
ことでした。
2020年の省エネ基準の見直しもそうですが、
「太陽光さえつければ許されるのか」という風潮?に
少し気を使われているようなところが伺えました。
ちなみに、当社に関しては太陽光発電システム
そのものについて、屋根への取り付け方法も含め
慎重に検討する必要があると考えているため、
太陽光ありきのこの補助金については、
個別の検討になりそうな雰囲気です。
さて、この補助金の説明資料、それぞれ100ページほどある
とても分厚いもので、断熱性能や太陽光の発電量の計算、
エアコンの効率など様々な情報が載っており、
住宅のエネルギー消費量の計算もとても細かく載っています。
こちらが経産省↓。
こちらが国交省↓。
こんな計算や表が延々と。
Q値は1.9以下、エアコンのCOPは4.6以上、給湯器はAPF3.3以上、
LEDが基本、蛍光灯は100lm/W以上、太陽光の発電効率は云々、
蓄電池はどういう設備、HEMSをつけて電力を測ること・・・等々。
しかし!! (長くなりましたが、ここからが本当に言いたいことです)
無いんです。
何が?
気密性能の記載が。一切。
人間ドック並みの健康診断を受けるのに、
血圧だけ測りませんという程、
基本中の基本を抜かしているような感じで、
ここまで露骨だと違和感を覚えます。
私も施主時代、「C値は大切」と言われて
「あぁ、そうなのかなぁ~」くらいの感覚でしたが、
入居して4年、入社して1年弱経った今、
気密性能の必要性をとても実感しています。
気密性能が低い状態の例えは色々ありますが、
穴の空いた魔法瓶というか、
破れたウィンドブレーカーというか・・・
最近思いついた表現は、
「ちょっと冷蔵庫の扉が開いている状態」。
どちらにしても、とても大切な性能の一つであることは
今更言うまでもありません。
C値1以下等のキツイ基準でなくても、2以下くらいの
基準は設けてもよいのではと個人的には思います。
どちらにしても、補助金を使って建てた住宅の消費電力の
実績を報告するというルールがあるので、一定の気密性能は
必要になってくると思いますが、ここまで住宅の性能について
詳しく記載されている文書で、気密性能、C値という記載が
全く無いことに驚きました。よほどタブーなのでしょうか・・・
色々事情はあるにせよ、権威や名声が背景にあっても
物事はうのみにできないものだと、今更ながら
考えさせられる説明会でした。
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