気密の秘密

2013/05/31
昨日、住宅のゼロエネ化に関する

補助金の説明会に行ってきました。

 

広島の中心部にある、こーんな高層ビル!!の2階で。

会場は、普通のセミナー室でしたが100名以上の満員状態でした。

写真を撮ったのですが、「撮影・録音禁止」(なんで?)と

注意されたので、とりあえず掲載は控えます。

ごくごく普通のセミナーの風景をご想像下さい。

 

聞いたのは、国交省と経産省の2種類の補助金の話。

それぞれの説明会で配布された冊子の冒頭には、

同じ主旨説明が載っています。

 

 

ゼロ・エネルギー住宅を建てるために、国庫補助金を使うもので、

ゼロ・エネルギー住宅とは、簡単に言いますと、その住宅で使うエネルギーと

発電するエネルギーの差引がゼロ(または発電の方が多い)になるという住宅です。

具体的な手段として、上の写真のように、

住宅の断熱性能を上げ、エネルギー効率の良い設備をつけることで、

標準的な住宅のエネルギー消費量(B)に比べて、

この住宅の使うエネルギーは少なくなりますよね(C)。

さらに、太陽光発電等をつけることで、住宅の消費エネルギーを

上回る発電ができました(D)ということで、この住宅では、

使うエネルギーより産むエネルギーの方が多いではないか、

ということです。

 

さて、賢明な皆様は、ここで疑問が生じませんでしょうか。

最終目的が「住宅の消費エネルギーを減らす」ことではなく、

「当該住宅でエネルギーがプラスマイナスゼロ(以上)」

であることです。

 

じゃあ、エネルギー大量消費住宅でも、大きい太陽光を

付ければいいんかい!!

 

ということはなく、一応、「事業主基準(略称)」という

標準的なエネルギー消費量(B)をスタートにして考えることには

なっています。さらに、採択の優先順位も、太陽光の発電量を

加味せず、住宅のエネルギー削減率の高いものを優先するとの

ことでした。

 

 

2020年の省エネ基準の見直しもそうですが、

「太陽光さえつければ許されるのか」という風潮?に

少し気を使われているようなところが伺えました。

 

 

 

ちなみに、当社に関しては太陽光発電システム

そのものについて、屋根への取り付け方法も含め

慎重に検討する必要があると考えているため、

太陽光ありきのこの補助金については、

個別の検討になりそうな雰囲気です。

 

 

さて、この補助金の説明資料、それぞれ100ページほどある

とても分厚いもので、断熱性能や太陽光の発電量の計算、

エアコンの効率など様々な情報が載っており、

住宅のエネルギー消費量の計算もとても細かく載っています。

 

こちらが経産省↓。

こちらが国交省↓。

こんな計算や表が延々と。

Q値は1.9以下、エアコンのCOPは4.6以上、給湯器はAPF3.3以上、

LEDが基本、蛍光灯は100lm/W以上、太陽光の発電効率は云々、

蓄電池はどういう設備、HEMSをつけて電力を測ること・・・等々。

 

しかし!! (長くなりましたが、ここからが本当に言いたいことです)

 

無いんです。

 

何が?

 

 

気密性能の記載が。一切。

 

 

人間ドック並みの健康診断を受けるのに、

血圧だけ測りませんという程、

基本中の基本を抜かしているような感じで、

ここまで露骨だと違和感を覚えます。

 

私も施主時代、「C値は大切」と言われて

「あぁ、そうなのかなぁ~」くらいの感覚でしたが、

入居して4年、入社して1年弱経った今、

気密性能の必要性をとても実感しています。

 

 

気密性能が低い状態の例えは色々ありますが、

穴の空いた魔法瓶というか、

破れたウィンドブレーカーというか・・・

最近思いついた表現は、

「ちょっと冷蔵庫の扉が開いている状態」。

どちらにしても、とても大切な性能の一つであることは

今更言うまでもありません。

 

C値1以下等のキツイ基準でなくても、2以下くらいの

基準は設けてもよいのではと個人的には思います。

 

 

どちらにしても、補助金を使って建てた住宅の消費電力の

実績を報告するというルールがあるので、一定の気密性能は

必要になってくると思いますが、ここまで住宅の性能について

詳しく記載されている文書で、気密性能、C値という記載が

全く無いことに驚きました。よほどタブーなのでしょうか・・・

 

 

色々事情はあるにせよ、権威や名声が背景にあっても

物事はうのみにできないものだと、今更ながら

考えさせられる説明会でした。

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

*

CAPTCHA