換気・空調について

毎日24 時間使用する「換気」「空調」はメンテナンスに注意!

高気密高断熱住宅では、換気は毎日24時間フルで、空調も長時間使用し続けます。よって「換気」と「空調」で最も注意すべき点は、「清掃」や「交換」などのメンテナンス性です。なぜならば、自分で簡単に掃除ができない場合は、将来的に「空気が汚れてしまう」リスクがあるためにです。また、高額な機器を使用している場合は、たとえ毎月の電気代を削減できたとしても、結局それ以上の費用が発生してしまうため、事前によく確認する必要があります。

メンテナンスの注意点将来
自分で掃除が簡単にできる仕組みであるか?清潔な空気を簡単に維持できない
交換時やメンテナンスに大きな費用が必要とならない装置であるか?金額が大きいと後で困る

換気システムには、以下の3つのタイプがあります。このうち第2 種は手術室やクリーンルームなどで使われる特殊な換気システムなので、一般住宅の多くは「第1種」もしくは「第3種」換気システムを使用しています。

換気システム選びの注意点は下記3つです。

  • ダクトを使わない
  • 気流が床下空間を直に通らない
  • メンテナンスや取替費用が安い(海外製品は避ける)

上記全ての特徴を持っているのは「ダクトレス第3種換気システム」です。自分で掃除ができるので、清潔な空気を将来にわたり簡単に維持することができ、装置もシンプルで安いので故障時の交換にも困りません。

ダクトレス
第3種換気
ダクト式
第3種換気
ダクト式
熱交換型第1種
ダクトレス
熱交換型第1種
初期コスト
ダクトの有無排気ダクトのみ給気ダクト
排気ダクト
取替費用
約10年/回
メンテナンス費用
約5年/回
床下のホコリ×
掃除できない床下空間を直に空気が通る場合、埃を撒き散らす可能性あり
ダクトレス第3種換気・最もシンプルな仕組み。
・ダクトが無いためフィルターの掃除のみ。自分で掃除可能。
・30坪の家で6台。
・フィルター交換1年に1回、ファンやモーターなど本体の寿命は20年程度。1台1.2万(合計7.2万円)程度で交換可能。

屋根裏や床下に「ダクト」が張り巡らされている換気システムは、ダクトを自分で掃除できないことから、掃除を業者に依頼する必要性がありお金も手間もかかるため、結果的に清潔な空気を簡単に維持できないことが問題と考えています。このため健康を気遣う建築会社ではダクトを使わない換気システム(ダクトレス換気)が主流になっています。

第3種換気システムは第1種と比較して「フィルターの個所が多くて掃除が大変」とされることがありますが、「掃除ができない個所」が存在するほうが問題が大きいと考えています。

※床下や天井裏に張り巡らされたダクト。基本的に自分で掃除できない。

※ダクト掃除タイミング … 5年に1回が目安。全てのダクトを掃除すると33坪の家で16.3万円程度(床面積×1,500~2,000円) 日本空調システムクリーニング協会より引用

チェックポイント!

換気設備にダクトが使われていませんか?

ダクトが使われていれば、掃除ができるかを確認しましょう。家中にダクトが張り巡らされている場合、掃除ができないと家中の空気が汚れてしまう可能性があります。

ダクトの掃除の方法を確認しましょう。

ダクトを自分で掃除できない場合、掃除が必要となるタイミングや業者名、目安料金を教えてもらいましょう。「ダクトは汚れません」という会社は信用できないと考えるべきです。

換気・空調設備の、メンテナンス費用や故障時の交換費用はどれくらい?

大型装置を使用している場合、故障時の交換費用が高額になりがちです。特に大型の全館空調は、交換費用だけでなくメンテナンスのタイミングや費用を調べておきましょう。

屋根裏や床下に「ダクト」が張り巡らされている場合、自分で掃除ができないため掃除に高いお金がかかったり、掃除しなければ清潔な空気を維持できない可能性があります。
※ダクトを使用していたとしても自分で簡単に掃除ができる仕組みであれば問題ありません。

また、全館空調などの大型装置は非常に高額なため交換等のメンテナンス費用を事前に把握しておく必要があります。

※全館空調のダクト清掃の様子(写真・資料:渋谷ダクトサービス)
  • 定期メンテナンスの内容と、タイミング・費用
  • 寿命による本体交換のタイミングと費用
  • 故障時の交換費用

特に、床下空間を利用した空調は要注意です。

  • 床下が掃除できなければ、ホコリが舞い上がる可能性がある
  • 基本的に冷房が使用できないため、夏用エアコンがもう1台必要
  • メーカー保証を受けられなかったり、電気店が設置対応できない場合がある

床下の掃除ができなければ、床のガラリからホコリが舞い上がる日常になってしまう可能性は否めません。床下は「室内だから汚れない」と説明する会社もあるようですが、掃除をしなくていい室内はありません。

また、冷たい空気は床下にとどまったり、エアコンの吹き出し口が結露してカビが発生する可能性が高いことから、床下エアコンは夏は基本的に使用できません。このため、同じ部屋に夏用エアコンがもう1台必要となる場合があります。

冷房を利用できる仕組みとして、床下の冷気をダクトで2 階に吸い上げて1 階に降ろすシャワー方式を採用しているところがあります。この場合も、床下空間が清潔でなければホコリも一緒に吸い上げて家中にまき散らしてしまう可能性が否めませんが、2階の吹き出し口に空気清浄機を設置して対応する住宅会社もあるようです。

なお、エアコンメーカーの想定外の設置方法のため、メーカー保証が受けられなかったり、電気店が交換対応できない場合があるので、そのあたりも事前の確認が必要です。

※床下空間を使ったエアコンの仕組み。床下の清掃性が重要。

屋根裏エアコンは、室内の気流づくりと屋根の屋根断熱や屋根通気が必要なため、設置にはハウスメーカーの経験値によるところが大きいですが、いろいろなメリットがある空調システムと考えています。

屋根裏エアコン・エアコンの台数が少なくてすむ。
・小屋裏空間を有効利用できる。
・ダクトの有無、もしくは自分で掃除できるかどうか要確認。
・屋根断熱でないと効果は半減。
・市販エアコンであれば交換費用も安価。
セントラル式全館空調・初期費用、メンテナンス費用ともに非常に高額(事前に要確認)
・ダクトが掃除できないと空気が汚れる。
・取扱い業者が限定され、値段も高い。独自のシステムの場合、サポート終了や倒産等のリスクがある。
床下エアコン・床下の掃除ができないと、将来的に空気が汚れる。
・夏に使用すると結露が発生するため基本的に使用できない。そのため1階用に2台のエアコンが必要。※吹き抜け2階のエアコンで1階をカバーするケースもある。
・冷気をダクトで2階に持ち上げる仕組みの場合、床下空間が掃除できないとホコリをばらまいてしまう可能性がある。
・メーカーの指定外利用のため、保証が受けられなかったり、電気店が設置に対応できないことがある。
・他の部屋への気流を作るため、基礎構造を簡素(布基礎を少なく)にして基礎を弱めている会社もあるので要確認。
部屋ごとのエアコン・部屋の数だけエアコンの台数が必要。
・電気代、交換費用がエアコンの台数分必要。
屋根裏エアコンセントラル式

全館空調
床下エアコン部屋ごとの

エアコン
初期費用×
電気代削減×
自分で掃除仕組み次第××
交換費用×
メーカー保証×
取付業者指定業者のみ指定業者のみ
冷房利用×
小屋裏空間×××

チェックポイント!

空調設備にダクトが使われていませんか?

ダクトが使われていれば、掃除ができるか確認しましょう。
家中にダクトが張り巡らされている場合、掃除ができないと家中の空気が汚れてしまう可能性があります。

ダクトの掃除の方法を確認しましょう。

ダクトを自分で掃除できない場合、掃除が必要となるタイミングや業者名、目安料金を教えてもらいましょう。「ダクトは汚れません」という会社は信用できないと考えるべきです。

空調設備のメンテナンス費用や故障時の交換費用はどれくらい?

大型装置を使用している場合、故障時の交換費用が高額になりがちです。必要なメンテナンス費用や故障時の交換費用を事前に確認しておきましょう。特に大型の全館空調は交換費用だけでなくメンテナンスのタイミングや費用を調べておきましょう。

空調の気流が直に「床下空間」を通りますか?

気流が直に床下を通る場合、「床下の掃除方法」を必ず確認しましょう。掃除ができないと、たまったほこりを家中にまき散らすことになりかねません。

床下を利用した空調の場合、次の3 つをチェックしましょう!床下空間の掃除方法は?シロアリ対策は?シロアリ保証は?

基礎断熱に床下エアコンを組み合わせた場合、ほこりの問題に加えてシロアリが住みやすい環境を作ってしまう場合があります。またエアコンメーカーの保証の有無の事前確認が必要です。

Theories 2

  • ダクトレス第3種換気であれば、簡単に掃除ができるため清潔な空気を維持しやすく、将来的なメンテナンス費用が最も安くなる。
  • 日常の掃除を簡単に行うことができ、故障時の交換費用が安いルームエアコンを活用した空調システムを選ぶと将来のメンテナンス費用も困らない。
  • 床下空間を利用するエアコンは、床下を掃除できないといずれ空気が汚れてしまう可能性がある。