ドイツに学ぶ(2)
平和記念公園の敷地内にある国際会議場にて、
「パッシブハウスセミナー」が行われました。
「パッシブハウス」とは、ドイツパッシブハウス研究所が
規定する性能基準を満たす住宅のことで、具体的には
次のような基準です。
1.冷暖房負荷が各15kwh/㎡以下
2.一次エネルギー消費量(家電も含む)120kwh/㎡以下
3.気密性能として50㎩の加圧時の漏気回数0.6回以下※
- ※漏気回数0.6回以下=隙間相当面積(C値)=0.2c㎡/㎡以下となる。
前提条件など色々あるかと思いますが、簡潔には、
「消費エネルギーが少ない住宅」ということで、
このドイツのパッシブハウスの考え方や評価手法を日本に導入することを
進めている、代表的な方々(日本人)が講師として講義をされていました。
主な内容は、普段、藤井社長が社内外で力説している内容と
ほぼ同じでしたが、他の方が語ると、若干聞こえ方が違っていたり、
説明するために使うデータや資料も違っているので、そういった点で
参考になりました。
中でも、目からウロコだった話を一つ。
あるデータによると、ドイツでパッシブハウスを建てている人々(施主側)
のうち、環境貢献に対する意識からパッシブハウスを建てた人は1割程度で、
大半の人々は「パッシブハウスにした方が生涯のトータルコストが低い」
ということを理解して、金銭的なメリットからパッシブハウスを
選択されるそうです。
(私は、ドイツの人は環境に対する意識が生まれつき、国民性として
特別高いのかと思っていましたので、ちょっと目からウロコでした。)
これは、住宅会社や国が、住宅の性能と、それによるメリットを
分かりやすく表示 ・ 共有する仕組みを導入して定着していることが
背景の一つで、住宅会社の知識レベルも高いとのことです。
さらにその背景として説明があったのが、ドイツでは、日本のような
規模の大きい住宅メーカーがなく、最大でも年間700~800棟を
建てる会社が1社あるくらいで、大半は地元の大工さんが建築し、
メンテナンスやリフォームもやっており(ここまでは聞く話ですが)、
その地元の大工さんが、住宅の性能(燃費)を表すためのエネルギー
計算も自分でやるそうです。
(ドイツではエネルギー計算が義務化され、上限値も決められています)
そういうことができるのは、ドイツでは大工さんなどの
職人さんが2年間無料で通える学校があり、その学校は
国や業界団体が費用を出し合って運営しているから、
ということでした。
日本とドイツは、太平洋戦争に敗北し、同じように技術で復興し、
国民一人あたりのGDPも似ているそうですが、社会の仕組みを作り、
運営するのが上手なのがドイツで、日本はヘタ、それを学ぶべき
でしょう、ということでした。
住宅の購入者の皆さんが住宅の性能について積極的に知って
頂くことも必要ですが、その為にも、より知りやすく、
分かりやすい環境や資料をご提供することが、供給側として
必要だということを再認識させられたセミナーでした。
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