米国視察(3)セッション
数々のセッションについてです。
初日の朝一番は全体の合同セッション。
会場に設置されたビュッフェで朝食をとって、席に着きます。
食事を会場に持ち込んで、着席。
ベーグルもクロワッサンもフルーツも美味しかったのですが、
手前のオートミールだけは味が無さ過ぎてなじめません。
コーヒーはおかわりし放題だったので、ついつい
沢山飲んでしまいました。
最初の合同セッションでは、パッシブハウスとは何ぞや、
という目的や方向性を再確認するいたって真面目な内容。
エネルギー消費量やCO2の世界的な増加や、
削減のための取組の話が主でした。
この後は、ホテル内の4つの部屋に分かれて、
分野別のセッションです。最初は、事例発表の部屋へ。
壁の中の湿気の動きをシミュレーションできるソフト
WUFIの3次元版も、普通に使われています。
一次エネルギー換算で、年間の床面積㎡あたりの
暖房負荷を15kWh/年、全消費エネルギー120kWh/年
という、かなり高めの目標を達成する上で、
様々な検討や取り組みが行われています。
二日目は、断熱関係の部屋に行ってみました。
こちらは、外断熱の場合の壁に断熱材を留め付ける
部材について。形状によりどの程度の熱損失があるか
という発表です。
形状により熱の伝わり方が異なるシミュレーション。
他にも、集合住宅で片方だけを断熱リフォーム
した場合の影響について。
住宅の寿命が長いので、新築が少なく、建て替えが
多い欧米では、この様な検討も重要だと思います。
結果としては、グラフで温度や湿度の動きを示して
発表されるものばかりで、学会のような雰囲気でした。
壁構造の検討。温度、湿度の動きなどの解説です。
このように、2日間、学会発表のような会場を行ったり
来たりしながら、何とかスライドをみて発表内容を
解釈して行きました。
先日も書きましたが、同行した京都工芸繊維大学の
芝池准教授、修士1回生の脇さんも発表されていました。
芝池先生は、日本の様な多湿な環境での
熱交換器の負荷の解析について発表。
先日建築された、横浜のパッシブハウスの写真や
紹介もありました。先日、日経ホームビルダーにも
掲載されていましたし、今、注目されている1棟ですね。
脇さんは、日本にあるパッシブハウスの実験棟の
熱交換器に関するデータ解析結果を発表。
今回のデータでは、全熱交換と顕熱交換での
負荷軽減の効果があまり変わらなかったという
内容でした。
質疑応答にも英語で回答。芝池先生もフォローします。
それにしても、住宅の温熱環境についてここまで
詳しい学生さんが日本に何人いらっしゃるでしょうか。
2日間で、プレゼンを8つくらい聞きました。
藤井社長もよく申していますが、住宅に使われる
技術はとてもベーシックなものが多く、ものすごく
複雑な精密機械の様なもので成り立っているわけ
ではありません。
そういう意味では、雰囲気は学会でも、内容的に
目新しいものがあったわけではありませんが、
住宅は1棟1棟違いますし、建っている地域によって
環境条件も異なるので、地域を変えて性能の高い
様々な住宅のケースでシミュレーションや実践した
結果を発表して共有するという意味では、
有意義な場だと思います。
さて、一つ驚いたのは、セッション中、とても雰囲気が
明るく、何度も爆笑が起こることです。
それが、ほとんどのセッションで起こっています。
米国では、プレゼンのスキルも重要とされていて、
聴かせる能力として、笑いの一つもとってナンボ、
だそうです。
聴いている側も、どんどん手を挙げて質問しますし、
とても活発な場でした。私にもっと英語力があれば、
もっと勉強になったし楽しめたことでしょう。
実際、米国でも性能の高い家はまだほんの一部で、
性能の低い家が多いということです。そういう状況で
省エネ、省CO2のため、環境に対する意識の高い
人達が集まっている場ということでした。
ということで、セッションを聞いている中に寝ている人
は一人も居ませんでした。(寝るくらいなら退席する
らしいです)
先日の広島でのセミナーとは大違い・・・
2日間の会議の最後に、大会議室で合同セッション。
会議の締めの発表は、なんと、米国パッシブハウスの
理事長(?)のジョーさんの住まいとしてカマクラが良い!
のでシミュレーションしてみよう!!というジョークの内容で
10分くらいものすごくテンションの高いプレゼン。
真面目に3次元化して、熱と湿気のシミュレーションが
行われます。発表者のアキレスさんのテンションがとても
高く、会場は何度も爆笑。とても日本では考えられません。
この後、「内部の発生熱が足りなくて室内が0℃に
なっちゃうから、ろうそくを置きましょう。
ろうそくの発熱量から計算すると、かまくらが
溶けない程度のろうそくの本数は○本が丁度
良い!!(換気はできるのか・・・?)」
という結論(結露?)になり、長いジョークの発表が
終わりました。
会場を沸かせるために、これだけの計算と資料作成と
発表時間を費やすとは、スゴイエネルギーだ・・・と
思っていたら、この後、さらに20分ほどみっちり、
真面目にWUFIの各バリエーションを使った検証や
今後の取り組みについての説明などが続き、
あの長いジョークのあとに、これ持ってくるのか・・・
と彼らのパワーに感心しました。
食事もそうですが、セッションもおなかいっぱいです。
今回も文章が長くなりましたが、これでも全然ご紹介
できていないくらい、濃い2日間のセッションでした。
コメント