2012年以降、省エネ住宅でないと違法になります

2012/09/15
給湯器メーカー大手のリンナイ社の「リンナイ エコロジーアクション2012」に参加してきました。

 

住宅や建築物の新たな省エネ基準が、2020年に完全義務化される予定です。(全ての建物が対象)

そのため、現在、経産省において義務化の基準が検討されているのですが、

その新しい省エネ基準を検討する委員会の委員である、

東京大学の前真之(まえまさゆき)准教授のセミナーがありました。

(写真は開始前の会場です。コンベックス岡山2階バンケットホールにて)

2020年には住宅を含む建築物の「省エネ基準」が現在よりも厳しくなり、

高断熱はできて当然、その上でさらに暖房や給湯で省エネ機器を導入するなどして

建物のトータルの省エネ率を下げなければ、「建ててはならない」ということになります。

デザインに傾倒し、ガラス張りで夏場の日射が入りっぱなしで空調の電気代が莫大に

かかるような建物は、今後は違法建築となります、ということで、やっと日本も

ドイツのように全ての建物が省エネ基準を具体的に持つという内容でした。

(その上でリンナイ社のハイブリッド給湯器は省エネだ、という結論です。実験結果付。)

 

ただ、この新たな省エネ基準、個人的には少々疑問があります。

なぜなら、建物の性能と設備の性能を加味したエネルギー消費量の総計を相対的に

規制する方向性なのですが「太陽光発電をつけると、発電したうち自家消費分のエネルギーは、

建物のエネルギー消費量からマイナスしてよい」というルールになるということなのです。

 

つまり、性能の低い住宅を建てても、太陽光をつければ免罪符になる、ということです。

極論、大きい太陽光パネルをつけて沢山発電すれば、冷暖房を沢山使う住宅ても、

プラスマイナスで「省エネ基準達成」ということになります。

これを「省エネ」と呼ぶことに違和感を感じています。

(無茶苦茶でも大逆転、というほど太陽光が優遇されているわけではありませんが)

 

また、太陽光発電システムは年々発電量が減衰したり、パワーコンディショナーは

10年前後で交換が必要というものもあります。

この省エネ基準が何年住める住宅を前提として考えられているのか確認していませんが、

「新築時」のみ省エネでも、十数年後に太陽光発電システムの寿命が来て、

何らかの理由で更新できなくなった途端、その住宅は省エネ住宅ではなくなります。

 

セミナーでは「住宅の性能、各種設備、太陽光の、どこで努力してトータル省エネに

できるかを選べることが大変重要」と言われていました。

その柔軟性は必要だと思いますし、太陽光発電の貢献度が全くないとは思いませんが、

せめて、建物そのものでも最低基準を設け、電力を消費する設備でも最低基準を設けておき、

最後に総エネルギー消費量に対して、一部太陽光を加味してもよい、等、住宅の性能と、

太陽光とを、同列ではなく、もう少し優先順位をつけてもよいのではと思います。

 

本法整備は、まだ中間とりまとめが発表された段階で、今後さらに整備が進みます。

有効な議論と決定がなされることを期待しています。

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