十勝2×4視察(1)

2018/02/06
前回の予告通り、北海道の十勝地方に

2×4の視察に行ってまりました。

 

そもそも初日の2月2日は、東京もかなりの

雪の予報で、岡山→羽田の便が飛ぶかどうかという

ところ。私の乗った飛行機の次の便は欠航という

ギリギリな移動で帯広空港に到着しました。

降りる前の機内のアナウンスで「現地気温はマイナス8度」

といきなりの未体験ゾーンです。

ですが、天気も良く、風もなく、「晴れたスキー場」

という雰囲気で、寒いのですが意外と大丈夫。

雪像もお出迎えしてくれました。

 

 

今回主催、先導して頂いたのは「カナダ林産業審議会(COFI)」

いう団体の方だったのですが、現地で主にご案内していただいたのは

現地の工務店集団「十勝2×4協会」の皆様でした。

 

早速車に乗せて頂き、帯広市内を移動しながら、

現地の住宅事情などをお伺いします。

 

以前の札幌でも思いましたが、北海道の住宅は屋根形状

や外壁の素材が本州と異なるので、ちょっと外国に来た

ような印象があります。

 

それにしても驚いたのは、十勝地方はツーバイフォーの

シェアが6割を超えており、そのうち8割は地元工務店

が建築しているとのこと。

 

この後のセミナーで聞くことになるのですが、1974年

ころ、合理化の目的でツーバイフォーを取り入れてみたら、

「何か家の中が暖かい」「地震にも強い」「建築も合理的」

ということで、その良さが徐々に広まっていったとのことです。

 

ここまで寒く、地震も多い十勝地方だからこそ、目に見えて

良さを理解され、評判が広まったということだそうです。

 

そしてもう一つ素晴らしいのは、地元工務店がツーバイフォーの

建築集団「十勝2×4協会」を造り、相互に技術情報を交換したり、

品質に関する検査を行い、厳しい目で成長しあってきたことです。

(構造の検査で何度かNGになると除名されることもあるとのこと。

皆さんとても仲が良さそうですが、馴れ合いの関係ではなさそうです。)

 

最初は窓や壁の中が結露したり、構造が痩せたりして、都度

トライアンドエラーで換気システムを検討したり、構造材を

替えたりと、一丸となって完成度を上げ、現在のような暖かく、

地震に強く、耐久性も高い2×4の建物が正当な評価を受ける

に至ったそうです。

 

それも、厳しい環境という共通の課題があったからこそ。

 

例えばもし壁の気密処理にミスがあると、冬に水蒸気が

壁の中に入り込み、そのまま凍り、1年目の春には、壁から

水が出て来るといった、すぐに施工品質の結果が出てしまう

過酷な環境ということです。

 

適当に建てることは許されない環境だからこそ、

一致団結し、レベルアップして来た。その結果、暖かく

長持ちする家を建てることができ、昔はヒートショックが

全国一だったそうですが、今では全国トップクラスに

ヒートショックの起こらない県(道)となったそうです。

 

厳しい環境が人を協力させ、品質を上げ、健康と命をしっかり

守れる家ばかりになった、素晴らしいことだと思います。

環境が十勝ほど厳しくない岡山でも、見習いたいですね。

 

 

さて、その協会の工務店さんたちが建築した

実際の建物も、たくさん案内して頂きました。

「土地は坪6~8万円くらいですかね」とさらっと

ウラヤマシイことを言われました。確かに広い土地に

大きな家が建っている現場が多いです。

 

外ではエアコンの室外機からツララが・・・

寒冷地仕様のヒートポンプのエアコンがどこの家にも

ついていました。

 

合わせて、このお宅はパネルヒーターがほぼ全室に。

パネルヒーター+エアコンの組合せはかなり多いとのこと。

確かに外気温マイナス20度の世界ですから・・・

 

でも家の中は24度と、ホントに暖かいです!!

こんな吹抜けがあっても、全く温度差がありません。

 

ご覧の通りです。

 

十勝2×4協会の皆さんは、厳しい環境での

経験が豊富なだけに、窓・断熱・気密・空調・換気、

何の質問をしても、経験を元にした中身のある

回答が帰ってきます。

 

こちらでは、ダクトレスの熱交換器を採用していました。

熱交換素子を外して説明。

その途端、後ろの穴からは冷たい空気が。

 

セミナーでは「主に3種換気が多いが、熱交換も使用する。

ただし使うエネルギーは3種換気より多くなるので注意。

また湿気を交換する全熱交換は、湿気と一緒に汚れたものも

折り返す可能性がありヨーロッパでは禁止されている国もある。

北海道で全熱交換をすると、熱交換素子が凍ります。」

とのこと。北海道でここまで選択的に言われる熱交換が

本州の岡山で必要なのかどうか…。

 

ちなみにこのダクトレスの顕熱交換は、70秒ごとに

給気と排気を繰り返すものです。

たまたまカバーが外れたままだったので・・・

ちょっとサーモカメラで撮影し続けてみました。

 

 

排気しているところ。部屋の暖かい空気を吸い出す間、

その熱によって、熱交換素子が暖められています。

 

おや、給気に切り替わったようです。外の冷たい空気を

取り込んでいるので、段々冷たい場所が増えてきています。

 

最も冷たい部分が多い状態。ファンの気流の関係からか、

真ん中は冷やされず、周辺部だけが冷たくなるようです。

これだけ冷やされるということは、外気が室内に入る際に

この熱交換素子の熱をもらっているということです。

外の空気はマイナス8度ですから、こうすることで、

確かにこの給気のそばにいる人の体感は変わるでしょうね。

この後は、また排気になり繰り返します。理屈では知って

いますが、こうやって可視化すると面白いですね。

 

さて、駆け足で物件を沢山回り、写真も山ほど撮影した

のですが、長くなりそうなのでまた次回に続きますと

いうことにさせていただきます・・・

 

 

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