ユーエー値
住宅の性能評価の考え方、計算方法などが変わります。
これについて、先日、マルフジフォームの藤井社長に
講師をお願いして、社内で勉強会を行いました。
公示されたのは少し前ですが、今回の改正で、
住宅の性能や省エネの評価の考え方が色々と変わりました。
色々書いているとまた長くなってしまいますので、
代表的なものを一つだけご紹介したいと思います。
それは、「外皮平均熱貫流率」UA値(ユーエーチ)です。
私の日本語より、国交省の資料の方が分かりやすいので、ペタッ。
上の図の左側が、よく藤井社長も皆様にご説明しているQ値です。
右側が改正後のUA値の説明です。
Q値は、計算式の通り、「建物から逃げる熱の総量を床面積で割った値」。
言い換えると「この家は床面積1平米あたりどれくらいの熱が逃げるのか」
を表す値です。
・・・ただ、このQ値には、正確に性能比較ができない問題がありました。
(ここからちょっとややこしい話になります。ご容赦ください。)
Q値の計算は、簡単に書くと次のような手順になります。
1.壁、窓、床、屋根などの性能値を使って、建物の外皮から逃げる総量を積算
2.さらに換気によって逃げる熱を加え、「建物全体から逃げる熱量」とする
3.算出した「建物全体から逃げる熱量」を床面積で割る
熱は外皮から逃げるので、同じ外皮面積の建物であれば
同じ性能が出てほしいのですが、上のように最後に床面積で
割るので、床面積の違いがそのままQ値に影響します。
例えば、上の2つの建物があるとします。
どちらも1階建てだとすると、床面積はA邸がB邸の2倍。
外皮面積は同じなので、熱の逃げる量を同じ10と仮定すると、
A邸のQ値=[逃げる熱10] ÷ [床面積8m2]=1.25
B邸のQ値=[逃げる熱10] ÷ [床面積4m2] =2.5
ということで、Q値はA邸がB邸の2分の1になります。
つまり、同じ断熱性能を持っていても、床面積(分母)が
大きい方が、Q値は小さくなる(有利になる)ということです。
これに対して、新しい基準のUA値は、A邸、B邸とも
次のようになります。
UA値=[逃げる熱10] ÷ [外皮面積40m2] = 0.25
分母が床面積から外皮面積に変わっているので、外皮、
つまり壁や窓が熱を逃がす(逃がさない)性能が
そのまま値に反映されるようになったということです。
さらに、Q値は、換気で逃げる熱量を加味していたので、
通常の換気扇から熱交換型の換気扇に変更すると、
Q値が良くなっていましたが、その考え方もなくなり、
建物そのものの断熱性能が問われるようになりました。
結局長くなってしまいましたが、改正省エネ基準のご紹介でした。
原文を読まれたい方は、こちらへ!→ 国交省の改正省エネ基準のページ
おすすめは、リンク先のページの一番下にあるパンフレットです。
少々サイズの大きいファイルですが、分かりやすく書かれています。
#しかし、これだけ細かく見直されているのに、無いんです。気密性能に関する基準が。
どれだけ高性能なマホービンも、フタに隙間があってはダメだと思うのですが。
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