低温に起因する死亡が12万人
研究をされている、近畿大学建築学部長の岩前教授の
話を先日聞きました。
以前のセミナーでは、冬季の死亡者数の増加について
話している最中に寝ていた工務店のオヤジに「起きぃ!!」と
渇を入れる場面もありましたが、今回は終始穏やかに終わりました。
おおむね、前回と変わらない内容ではありましたが、
ひとつ新しい数字が出てきました。
「日本では寒さに起因する死亡率が他国より高く、約10%。
大まかには、年間の死亡者120万のうち12万人が寒さの
リスクによる死亡と言える」ということです。
元になる情報を探してみると、医学雑誌のひとつのランセットに
掲載されていました。⇒ 情報元のレポート(英文)
ざっくり書きますと、世界の13カ国、384都市の7400万強の
死亡データを調査して、「適切ではない暑さ・寒さに起因する
死亡が全体に占める割合」を算出したものです。
オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、イタリア、日本、韓国、
スペイン、スウェーデン、台湾、タイ、英国、米国が対象でしたが、
日本で寒さに起因する死亡率は9.81%で、中国の10・36%に
次いでワースト2位でした。(全体の表はこちら ⇒ 表2)
スウェーデンは寒い国ですが3.87%と低いことにも注目。
先日、このブログで「厚生労働省の調査で浴室での死亡者数が
年間1万9千人」と新たな数字が発表されたことをお伝えしましたが、
岩前教授は「明らかに季節変化が原因となっている死亡者数は
浴室の死亡や狭義のヒートショックよりももっと大きく、
『冬のリスク』を先ほどの12万人規模として捉えなければならない」
と訴えていました。
色々な大学の先生や設計士や工務店が、似たようなデータや
切り口で訴えていますが、もはや家の中が暖かく、温度差が
小さいことが健康や生命の安全に結びつくことは当たり前と言っても
良いほど、その方面のデータや根拠は煮詰まって来た感があります。
2020年の省エネ・断熱義務化も目の前に迫ってきており、
消費税増税も控えていますが(ホントに上がるのかな??)、
外部環境に振り回されず、気密断熱だけにこだわることもなく、
常に全方位に進化しながら、歩みを進めて行きたいと思います。
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