医用工学研究会にて

2016/06/24
たまにセミナーなどに情報収集に行きますが、

本日は建築関係や営業関係のセミナーではなく、

ちょっとアウェーな雰囲気でした。

 

参加させて頂いたのは「第108回 岡山県医用工学研究会」。

一昨年、「天然鉱石コスミックパウダーの花粉症への

影響の実証実験」を共同研究として実施して頂いた

川崎医科大学の大槻教授が副会長を務められています。 → 実証実験の様子

 

実証実験の時から研究会に登録しているので、

いつも研究会の案内が来ていたのですが、

サッパリわからず参加できませんでした。

参考までにこれまでのテーマを見ますと・・・

 

医工連携によるアフェレシス装置の開発

フェムト秒レーザーによるコラーゲンの可視化

傾斜遠心顕微鏡を用いた血球と固体壁との力学的相互作用の計測

 

・・・うーん、やっぱりワカラナイ。

 

と敬遠していましたが、

「今回は『住環境と健康』というテーマだから来る?」と

お誘い頂きました。

 

 

会場は、岡山大学病院(鹿田)の敷地内にある「マスカットキューブ」という建物。

 

全部で4つの発表を拝聴しました。その中の2つだけご紹介します。

 

1つ目は大槻先生の10年程前の研究で、

室内をマイナス荷電にすることで血中のNK細胞の活性が見られた、

という研究です。

 

なぜNK活性が起こる原因となる血中のサイトカインが

増えるのかのメカニズムはわからないということでしたが、

人の実験だけでなく、血液細胞を採取しての培養の実験

でも同様の現象が得られたというのは面白い内容でした。

 

以前実証実験したコスミック・パウダーも同じような状況が

起こっているのか・・・??(こちらもメカニズム不明)

以前は20名の方にご協力いただき、実証実験を行いましたが

血液細胞での実験という方法もあるようですね。ウーン。

 

もう一つ、興味深い研究発表がありました。

奈良県の医科大学の先生による室温と健康との関連を研究した

発表でしたが、奈良県の1129人を対象に、15年かけて、

室温と健康との関連性を研究されているそうです。

 

まだ研究途中ですが、やはり寒い家では起床時の血圧の

上昇度合いが高く死亡リスクが上がる可能性があることや、

初耳のネタとしては「暖かい家では尿中のナトリウムの排泄量が

多く、摂取した塩分を多く排出できている」などのデータが

発表されていました。この研究は2025年まで継続される

そうなので、今後も新たな結果が出ることに期待します。

 

家の中が寒すぎず、暑すぎない方が健康にいいことは

当たり前のような気がするのですが、「医学的に証明」

しようとすると非常に高い精度でエビデンス(証拠)を

そろえる必要があります。奈良県の先生の口からは

「室温を何℃にすることは、適切な治療である」とまで

言えるかという観点で見なければ医学的にはエビデンスと

言えないという厳しい言葉が出ました。

 

その先生に一つ質問で「ドイツやイギリスでは室温が

低いことは法律違反や罰金にまでつながるのに、日本では

なぜそこまでエビデンスを揃えないと先に進まないのか」

とお聞きしましたが、「他国でもそこまでエビデンスが大量に

そろっているわけではないが、ある程度の情報量で判断した

のでしょう」とのこと。そこからは政治サイドの判断なのでしょう。

 

「病気が治る」とか「症状が無くなる」という表現をすると

薬事法にも引っかかるので、検証も結果の解析も発表も

事実に基づき慎重にならざるをえないのですが、住環境の

改善につながる研究が今後も医学サイドからも進むことを

期待しています。

 

(建築サイドでもそういった動きは見かけるのですが、どうしても

家や建材を売るための結論ありきな検証が多いように感じます。

ニュートラルな立場の専門家によるエビデンスを、建築サイドが

良い家を建てるために使えればベストかと・・・)

 

 

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