広島にて試験
今年計画している 社内実験プロジェクトの一つ
「壁の剪断力試験」の様子をご報告します。
長いブログなので ご了承くださいね。
7月初旬 現在動いているある現場の中で
試験体となる 「ツーバイシックス壁=1820mm×2730mm」を
4つ作成しました。
全て ツーバイシックスのスタッドに針葉樹合板(構造用合板)を2枚張って
1パネルのみ 通常の仕様(世間一般の枠組み壁工法仕様)=パネル①
残り 3パネルは コスミックガーデン仕様と言うことで
スタッドの中間に水平方向の「転び止め」を入れています。無断熱の転び止め付
パネルをパネル②とします。
4つのパネルのうち 2パネルに30倍発泡の
硬質ウレタンを吹きつけます。
現在コスミックで採用している クララフォームと
2020年までには切り替わるノンフロンの次世代対応型ウレタンを
それぞれ吹き付けます。
従来型ウレタンを吹いたものを パネル③
次世代型ウレタンを吹いたものを パネル④
として試験に臨みます。
共に100倍発泡したモノと違い 硬い仕上がりで
「冷凍倉庫用 高質発布ウレタン」を実感させてくれます。
マルフジフォーム工業の職人さんは社内ルールにより
独自の吹き付け方を実施してくれます。
極端に厚みが薄くなってしまう部分や
ウレタンとしての接着力や断熱欠損になりそうな個所を
生まない方法です。
ウレタンは施工の品質によって 性能に大きな「差」が出ると
言われる所以です。
出来上がったパネルを 2トンロングのレンタカーで
一旦倉庫に移動。
手積込なので スタッフみんなで協力します。
倉庫からは お盆明けに 運送業者さんに4トンウィングを段取りしてもらい
広島県三次市の試験場に搬入してもらいます。
その後の試験当日。
朝9時頃から開始と言うことで
早朝 朝日がまぶしい頃に会社を出発しました。
・・・で、約2時間半後 広島県三次市にある
「広島県立総合技術研究所 林業技術センター」に到着。
何とも味わい深い外観です。
気温も湿度もグングン上昇していきます。
順番に手違いが有って パネル②が既にスタンバイ。
試験装置の操作方法や モニターの見方など
レクチャーを受けます。
一つの検体に 水平方向に「押す力」と「引っ張る力」を
順番に掛けていきます。
検体を破壊する力は 引っ張るときに発生するそうです。
十数分から二十数分くらいの時間をかけて
段階を追って 加圧するトン数を上げていきます。
最終的には ツーバイシックスのスタッドに打ってある釘が抜けたり
して合板が浮いた状態になって 「破壊」と判断し終了です。
転び止め付の従来ウレタンを吹いた パネル③がスタンバイ。
パネルには 3か所のセンサーが取り付けられています。
コンマ数ミリの動きでも感知するセンサーで
パネル自体の動きや変形角を測定します。
パネル②に比べて かなりのところまで耐え続けたパネル③
ウレタンの接着力が強力で、ウレタン無パネルとは少し違う
破壊の仕方です。
スタッドを外した状態もチェック。
強さとは関係ありませんが
30倍発泡ならではの 数回に分けてスプレーすることによって
現れるスキン層(地層のようなモノ)がはっきり見て取れます。
実は試験初日は 断熱工事でおなじみの 「(有)マルフジフォーム工業」さんより
藤井専務が参戦。
クララフォームを提供してくれている 「クラボウ」さんからの担当者さんが
お手伝いに来てくださっています。
他にも この日 試験場の隣のブースでは、「広島大学 大学院工学研究科 建築学専攻」の
皆さんが実習を行っていました。
やってる内容は分かりませんが 若い皆さんが暑さに負けないキビキビした動きで
色々作っていました。
(半分フラフラの脱水症状な感じの私達とは大きく違います。
若さっていいなあアー。)
そこで、広島大学准教授と知り合う事が出来
藤井社長といろいろ 意見交換をしていました。
試験は二日間にわたって行われました。
試験体のセット、終了後の撤去。
次の試験体との入れ替えに ものすごく時間がかかるので
1日に午前、午後それぞれ1パネル試験。
2枚目終了後に 次の日1番の試験体をセットをしたところで
時間オーバーとなります。
私達は三次に宿泊しましたが
スタッフ岡本は 諸事情で岡山⇔三次間を2往復することになり
ご覧の様にお疲れです・・・・。
次世代型ウレタン吹き付けのパネル④です。
計測データをまだ細かく分析できてはいませんが
従来型のウレタンより ねばりが落ちる と言うことも
なさそうです。
思っていた以上に(藤井社長は想定していた通り。らしいです。)
パネルが粘るので 試験機械に付属する
治具(ボルト類や フラットベアリングなど)の破損・交換なども
ありました。
ざっくり言うと、ウレタンを吹いたコスミックガーデン仕様の
壁パネルは 一般的な仕様のパネルの1.5倍〜1.6倍の
強さを誇っていると言えます。
最後に 世間一般にある ツーバイシックスの壁パネル①です。
この基本形態でも、サスガ枠組み壁工法と言う強さを発揮。
他社さんの グラスウール・ロックウールを充填した
工法のものでも 壁としての強さは
筋交工法とは別格です。
最後は下枠のシックス材から建て枠のスタッドが引き抜かれた状態になりました。
試験を受けて 破壊された検体は試験棟から搬出です。
時間を見計らって到着してくれた
当社でお世話になっている 産業廃棄物業者(解体業者)さんの
4トンに積込み 全ての作業が修了で撤収となりました。
睡魔に負けないように 美味しいコーヒーを頂いて
帰路につきました。
夏の終わりを告げるような 積乱雲です。
「家づくりなんでもゼミ」やご来社頂いた際に
今回の結果をまとめた資料やデータを
お知らせ出来ると思います。
今回の試験に係った全ての関係者の皆様に感謝とお礼を申し上げます。
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