WUFI のご紹介その1
WUFI(ヴーフィ)について、ちょっと
使ってみた様子をご紹介したいと思います。
まずは、フラウンフォーファー建築物理研究所の
WUFIのインターネットショップで購入して(単位がユーロ)、
私のパソコンにインストールしました。
開くと、こんな画面!!
全部英語!!( ̄Д ̄;;
あー、ドイツ語じゃなくてよかった・・・と何とか自分を励ましつつ、
色々やってみました。
まずは、コスミックの壁の設定をします。
壁の断面をこんな感じで設定します。
何百も登録されている建材から選択し、厚みを決めますが、それ以外にも
一つ一つの建材について比重、空隙率、熱伝導率、水蒸気透過率など
かなりの物性値が設定されており、それらを変更することもできます。
この辺りは物性に関する知識がないとできません。
壁の構造が設定ができたら、その壁を建てる方角や傾斜を決めたりします。
傾斜を設けるのは、壁ではなく屋根材の検証をする時が主です。
そして、どこの地域にその壁を建てるか決めます。
何と、日本だけで842カ所のアメダスのデータがあります。
気象庁の観測所があるところが全部入っているんでしょうか。
この中から場所を選びます。今回は岡山市を選びました。
岡山市のデータです。
このように、1年間365日の、温度と湿度のアメダスのデータが入っています。
スゴイ!!
次の画面で、その地域の特性を見ることもできます。
最低気温マイナス4℃。最高35.9度。
方位ごとに温度、湿度のデータがあります。
このため、壁の向きも設定するんですね。
それでは、シミュレーション開始!!とすると、一所懸命計算が始まります。
通常、シミュレーション期間は「3年間」です。(最大30年)
というのは、1年目が大丈夫でも、2年目、3年目と湿気がたまっていく
というリスクもシミュレーションできるからです。
計算が終わったら、結果が見られます。
時間の経過とともに、温度、湿度がどのように変化するかを
動画で見ることができます。
ちょっと重いのですが、1週間分だけ動画を作りましたので、
雰囲気を見られたい方は下をクリックしてください。
簡単に結果を掲載しますと、下のような感じです。
最初の設定と同じように、壁の構造が
左から室外、外壁、空気層、シート、合板、ウレタン、空気層、ボード、室内
と並んでいます。
そして、上の赤いグラフが温度、下の緑が相対湿度、青色が水分含有量です。
薄い赤、薄い緑、薄い青は、一度でも到達したところがある箇所です。
最も見る所は、薄い緑です。
検証した3年間に到達したことのある相対湿度を表していますが、
これが80%を超えると結露の危険があるという判定になります。
上の結果は、合板、ウレタン、石膏ボードの相対湿度(薄い緑)が
赤い点線より上に行っていないのでOKです。
左の外壁と空気層は少々超えても構わないと判断します。
細かい設定値は、国交省の機関の「防露基準」というものに基づいており、
若干現実よりも厳しいと思われますが、コスミックの壁は岡山市では
内部結露の心配はなさそうです。
さて、こうなると、色々試したくなります。
私よりも、藤井社長が「次はこうやって」「次はどこの地域で」と
どんどん検証のネタを出すので、既に山ほど結果があるのですが、
今回は、とりあえず簡単なケースを載せます。
コスミックの壁構造で、断熱材をグラスウールに替えてみると、下のように。
赤丸の場所は、構造用合板とグラスウールの境界ですが、
真冬に相対湿度が90%を超えてしまいました。
これは、室内から外に出ようとする水蒸気が、グラスウールを
通過しても合板を通り抜けられず(透湿抵抗の差から、
通り抜けるスピードが遅い)、壁の中にたまっているためです。
これだけ相対湿度が上がると、水蒸気が水に変わり、壁の中が濡れ、
カビや劣化の原因になり、断熱性能も下がります。
このため、グラスウールを使う場合は、湿気を絶対に入れないような
施工が必要になります。
そこで、石膏ボードの内側に防湿シートをいれます。
そのシミュレーションをすると、次のようになりました。
冬の室内からの水蒸気は防ぎましたが、夏に外から入ってきた水蒸気が、
グラスウールと石膏ボードの間に入れた防湿シートのところで
溜まってしまいました。これでは失敗と言えます。
上の例では、外からの水蒸気を止める場所がないので当然かも知れませんが、
水蒸気はとても小さいため、壁や断熱材の中に、どんどん侵入してきます。
透湿抵抗や断熱性能を考慮しながら、壁の材質や厚みを検討する必要があり、
自然を相手にする住宅の外壁がいかに難しいかと考えさせられます。
さらに、岡山市はまだ安全な方で、他にもっと厳しい条件があります。
今回はここまでで、次回のWUFIのご紹介では、気候が異なった場合の影響も
ご紹介して行きたいと思います。(やっぱり長くなってしまいました)
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