久しぶりのWUFIセミナー

2016/01/20
当社でも導入している、壁内の結露等のシミュレーションソフト

「WUFI(非定常熱湿気同時移動解析プログラム)」のバージョンが

5から6にあがるのにあわせて、開発者のドイツのフラウンフォーファー

建築物理研究所の開発責任者のダニエルさんと日本人スタッフの田中さんが

ドイツから来日されてセミナーがあるというので、久しぶりに参加して来ました。

そもそもWUFIって何?という方は過去の記事へ → ご紹介1 ご紹介2

 

東京では2日間、大阪では1日間で、ちょっと残念ですが大阪での参加です。

参加者は東京は数十名だったそうですが、大阪会場は10名ほどだったので、

質問しやすかったのはメリットでした。

 

期間限定のお試しライセンスをもらい、立ち上げると、6.0のタイトルが!!

(ここの感動はあまり伝わりませんね・・・)

 

 

本質的にはあまり変わらずですが、これまでより建材が選びやすく

なったなど、ユーザーインターフェースが強化されました。

 

さて、午前中はバージョン6の説明でこれはこれで今までできなかった機能が

増えたりと面白かったのですが、午後はさらに興味深い、今回初体験のソフトの

ベータ版を期間限定でインストールさせてもらえました。

 

それは、このWUFI Plus というソフトです。

 

簡単に解説しますと、今までご紹介したWUFI PRO(甲と呼びます)は、

「外気の温度・湿度、室内の温度・湿度を条件として与えたときに、

設定した壁構造(外壁・構造材・断熱材)の内部で湿度や含水率が

どのように変化をするかを非定常(24時間365日の状態変化をさせて)で

シミュレーションするソフト」です。

 

これに対してWUFI PLUS(乙とします)は、

「外気の温度・湿度・室内で発生する熱・湿気を条件として与えたときに、

設定した建物(壁・床・屋根・窓・ドアなどの構造)の内部がどのような

温度・湿度変化をするかを非定常でシミュレーションするソフト」です。

 

なので、(甲)は、壁の構造だけを入れて一次元で解析するものですが、

(乙)は、三次元で解析する非常に計算が複雑で量が多いものです。

 

たとえば、(甲)は壁構造を設定するだけなので、下のように合板や断熱材の

種類や厚みを入力していくので、慣れればすぐ設定ができ計算も数分で完了しますが、

 

(乙)は、上のような壁や窓の情報を、家のあらゆる箇所に設定していかなければ

ならないので、計算を始める前の条件設定の作業がかなり大変と想定されます。

 

そして、建物ができた後は、設備や人がいつどのくらい発熱するかや、

換気によりどの程度熱が逃げるかなどといった熱の出入りにかかわる条件を

設定していきます。もちろん、気密性能にかかわる自然換気量の設定もあります。

 

すべてが設定できたら、シミュレーションスタート!!ということで、

1軒の計算には1日(聞き間違えでなければ)かかるんだったかな?

何年分のシミュレーションを回すかにもよると思いますが、(甲)は

2,3分で終わることを考えると、相当なボリュームですね。

 

でも、これで「岡山で、こんな形と性能の家で、こんな設備がついていて、

何人住んでいると、季節ごとにどのような温度・湿度状態になる」という

シミュレーションが理論上できるということになります。

また、設定を入れた直後でも、パッシブハウスの認定の基準になる

空調負荷などの計算はすぐに出してくれるので、認定を通すために

家ごとの設計上の空調負荷を毎回得るなどの作業が必要な方には

よいソフトかも知れません。

 

当社としてはどの程度の外皮性能で岡山でどの程度の性能が出るかは

過去の蓄積からつかんでいますので、すぐ必要ということはありませんが、

今後、全く気候が異なる地域に建てたり、壁構造を変えてみるといったときに、

事前の机上の検証としてのシミュレーションに使えるかも知れません。

 

建物内部の間取りで、吹き抜けや、独立した部屋がある場合に、どの程度

温度ムラができるかなど、室内の空調シミュレーションもできれば嬉しいのですが、

基本的なゾーニングの機能としてはあるけど、まだこれから具体的に提供できるよう

検証していくということでした。

今のところ、リリース直後のためか外皮性能部分の完成度を上げるのがメインテーマのようです。

 

さて、お試し期間中のこのソフト、どこまで当社として必要なのか。

このソフトのシミュレーションの精度(現実との差)もわかりませんが、

それを確認するには、そろそろ2年分のデータが溜まっている藤井社長宅か、

おおよその特性をつかんでいるコスミックの標準仕様のデータを入れて、

シミュレーションと現実との差を見て検証をするなどという手があります。

3月末までのお試しライセンスで、利用価値を探るにはそれしかなさそうですが

果たしてやる時間があるのでしょうか・・・

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