猫も杓子も・・・?
はっ!!ブログの更新が20日程止まっている!!ゴメンナサイ!!
・・・本日は、久しぶりに外出できましたので、その件を。
今年度のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援
事業の説明会に行ってきました。行き先は広島です。
広島市内に入ってから気づきましたが、昨日、本日は、
ナントG7伊勢志摩サミットの外相会合開催の真っ最中。
しかも説明会会場は平和記念公園のすぐ近くで、
そこらじゅう警察官・バリケート・パトカー・護送車・
検問などなど。物々しい雰囲気の市内を歩いてきました。
ある意味安全だったような?
さて、業界内ではますます盛り上がっているZEH(ゼッチ)補助金。
会場は超満員でした。
今年は、昨年までから大きく条件が変わったところがあります。
昨年までは、建てる住宅の設計上のエネルギー性能がZEH
住宅の条件を満たせばOKだったのですが、今年度からは、
自社が「ZEHビルダー」というものになりますという宣言
(登録)を経済産業省におこなわないと、補助金の申請が
できなくなりました。
この「ZEHビルダー」というのは、国策である
「2020年までに新築住宅の過半数をZEH仕様にする」
という目標に全面的に協力する会社です!!という宣言で、
「わが社は2020年までに建てる住宅の過半数をZEHにします」
と皆様に対して公表することを経済産業省に約束するものです。
経済産業省としては、「補助金を使うからには、背景となっている
施策に協力することを宣言すべし」という縛りを設けるわけです。
(それより気密性能を縛ってほしい。)
一般の方にどれくらい聞こえているか分かりませんが、もう、
最近の住宅業界はZEH、ゼッチ、ぜっち祭りです。
これまではエコハウスだのスマートハウスだの色々言ってきた
大手ハウスメーカーも、地場の中堅ビルダーも中小工務店も
設計事務所も猫も杓子もZEHビルダーに登録し、「我こそは
ZEH住宅ばかりを建てるZEHビルダーなるぞ!!」という
ZEH戦争が始まること請け合いです。
(ZEHという言葉は国のお墨付きですし、高気密高断熱と
いう気密性能に触れる言葉を使う必要もないので好都合)
それでも、建物本体の性能への縛り方はこれまでとあまり変わりません。
断熱材だけは沢山入れて、気密性能が低く、高価な高性能設備と
太陽光パネルを搭載したスカスカのさむさむメカメカZEH住宅で
あっても、計算上の省エネ性能が高ければ高い順に補助金を
もらえます。
しかも、今年から蓄電池1kWhごとに5万円というオプション付き。
※念のため補足ですが、経済産業省さんが「寒い家でもいいよ」と
言っているわけではありません。「断熱性能はこれ以上がZEHの
条件ですよ」ということはしっかり定義されているので、ホントは
その通りの断熱性能が出るように建てることができれば、暖かくて
省エネでゼロエネのホンモノZEH住宅になるはずなのです。
その性能の通り建てられていないことと、建てられていないことを
知っていても対策を打たず、設計上だけクリアしてればいいんでしょ、
と補助金を申請したりそのような住宅を建て続けていることの方が
大問題で、そしてそこを縛るには気密性能など逃げられない条件を
付けるしかないのですが、それは含まれていません。だから業界内
では「メカメカZEH」などという言葉が出回っています。
皆様に知っていただきたいのは、
・経済産業省の定義する「ZEH住宅」になるためには、太陽光発電
(などの再生可能エネルギー)と高効率のエアコンや給湯設備が
必須であり、それがないとどれだけ高い気密断熱住宅でも「ZEH」
にはならないこと。
・ZEH住宅の中には、気密性能が低く寒い住宅もありえること。
(設計上だけ数値をクリアして実態はその性能が出ていない住宅)
・ZEH住宅でなくても、暖かく省エネな住宅も沢山あること。
(太陽光や高効率設備が無くても気密断熱がしっかりできている住宅)
ということです。結局以前の省エネ基準と変わらないどころか、
省エネ設備や太陽光でポイントアップするだけ惑わされやすいような・・・
もちろん、ZEH住宅には本当に優秀なホンモノZEHもあると思います。
ただ、「ZEHビルダーになってないから遅れている」、「ZEHを
建てているから優秀で進んでいる会社だ」、「ZEHは暖かい家だ」
などとZEHのみを基準に信じるのは早計です。
結局、いつもの「特に真夏と真冬に、沢山の家を見て、構造も見て、
匂いをかいで、五感を働かせて、あらゆる要素が関連している住宅の
性能を分かってから、建てて頂きたい」という思いです。
先日の見学会では、弊社のラジオを聴いてくださった方がお越しになり、
「私の家は十数年前に大手で建てた。『暖かい、暖かい』と説明されて
建てたけど、寒いんだよ。騙されたんだよな・・・」
とおっしゃられていました。
このような設計のみの性能をチェックする状況のまま、高性能設備を
搭載せよと施策が進んでいることの怖さを感じます。
今の日本は食品でも何でもそうかも知れませんが、国の基準を
満たしていることや、表向きの宣伝広告では実態が分からない
ものにあふれているのかも知れません。
自己防衛できるよう本質を見極める目を鍛えていきたいと思います。
ブログの文章を短くする努力もしなければ・・・
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